The Top 25 Albums of 2015
2015年の総括!なんとか1月中に書けた!
前年よりはたくさん聴いた気はしてるけど、なんだかんだ去年もずっと忙しくて、思ってた以上にあんまり幅広く聴けなかったなぁというのがやっぱりな感想(n年連続n回目)。まだ未開封のCDもありますしね(白目)。2016年は聴き方も含めて新しいスタイルを模索しないと駄目かも。です。
で、絞るだけでも一苦労なのに順位なんて到底つけれないので今年も順不同で。あと、一気に書いたので最後の方はもう文章グッダグダです。
▼星野源 - YELLOW DANCER
前々作の「エピソード」の時にも音楽好きの中で十分"ブレイクした"ムードがあったのに、それとは何次元も違うところに行き着いちゃって、ほんと2015年は彼の年だったと言っても過言ではないくらい。
内向的な、いわば陰の位置付けだったソロ名義が、SAKEROCKの解散に伴ってかどうかはわからないけど、その陽の部分を持ち込んできたかのような突き抜けた名作。
ルーツであるブラックミュージック色を強めながらも、どこまでも人懐っこい歌謡曲でありJ-POP。昨年のRandom Access Memoriesと同じく、2015年のEDMカウンター的代表作の側面もあるかな、と。
▼MIKA - No Place In Heaven
エレポップに寄った(結果、評価もイマイチだった?)前作から、生楽器をふんだんに盛り込んだサウンドへと原点回帰。
"おもちゃ箱をひっくり返したよう"な怒涛のカラフルなポップチューン、"ジェットコースターのよう"に上下するボーカルとめまぐるしい展開するトラック。使い古された比喩は彼のためにあると言い切っても良いくらいです。
Perfumeや星野源さん、もっと言ってしまうと関さんやMIKIKO先生の作品が好きな人なら、アルバムのカラフルな世界観を表現した「Talk About You」のMVも好きだと思うので是非。(完成度は圧倒的に日本勢の方が上ですけど)
▼Tobias Jesso Jr. - Goon
ピアノと歌を軸に寄り添うギターやストリングス。心の内を静かにそして時に張り裂けそうに絞り出される歌。柔らかい木漏れ日のような60、70年代の空気とともにパッケージングされた100年後も聴けるエバーグリーンな作品。歌詞は内省的で重めな内容らしいけど、それを感じさせない美メロは中毒性あり。
▼髭 - ねむらない
ここ6年くらいすっかり離れてしまってて、その間にメンバー脱退はじめ色々あったりしたようで、そんな環境の変化の中から生み出された作品。
ラウドなツインドラムという彼らの代名詞を降ろし、内向的でフォーキーで土臭さい音楽になったんだけど、むしろ目立ってた部分が影を潜めたことによって、根底にある毒とかアイロニーみたいなものがより鮮明に浮かんできていて、そこにはやっぱり変わらない「狂騒」みたいなものがあった。
2015年の終盤はラスト曲の「闇をひとつまみ」を毎日毎日聴いてました。
▼Toro Y Moi - What For?
またまた路線変更の今作はサイケなギターロック。The Beatlesの中~後期を2015年の音で解釈しましたといった感じ。トラックのゆらぎ・歪みによって、その上に乗っかかるメロディーがより際立つようになって、遅ればせながら彼のポップセンスにようやく気付いた気がする。今作は物足りないという意見もあるっぽいけど、個人的にはいちばん好き。
▼Awesome City Club - Awesome City Tracks 2
良い意味での軽さが魅力だったかつてのシティポップも、ここ数年のリバイバルではその解釈が一気に広がって、洗練されてるのにぶっといっていう音が増えてきたその筆頭がこのバンドかな、と。自然と腰が動くグルーヴと一歩間違えば大袈裟になってしまいそうなアンセムポップスなのに、ストンとスタイリッシュにおさまってるバランス感が心地良い。
▼藤岡みなみ&ザ・モローンズ - S.N.S
満を持しての正式音源リリースで、2作品のどちらも期待以上。幅広い音楽のバックグラウンドを漂わせながらも純粋にキャッチーな職人技トラックに寄り添うノスタルジックなボーカルは、とにかく人懐っこくてスルッとカラダの中に入り込んでくる。マニアックにもサブカルにもJ-POPにもなり得る不思議なポジションを漂っている気がしてる。
▼LUCKY TAPES - The SHOW
Awesome同様、近年のシティポップ界隈で群を抜いて大好きなバンド。ソウル・ファンク色は強いのに、それらの土臭さとは真逆のきらびやかさとか爽やかさが最高だし、そして何より完成度も高い。星野源さんがメジャーシーンで土壌を拡げてくれたおかげで、この辺のブラックを大衆向けに爽やかに消化した音楽は2016年もどんどん拡大していくんだろうな。
▼Miami Horror - All Possible Future
この辺のきらびやかなインディーエレポップってめちゃめちゃ多くてどれに手を出せばいいのやらで逆に全然聴かない、っていう状態だったりしてたんだけど、これは美メロ、爽快、ドリーミーと聴きやすさは断トツ。70~80年代と2010年代におけるハウス、エレクトロ、ディスコ・ミュージックを見事なまでにオシャレに配合したなぁという作品。
▼Ben Browning - Turns
Cut Copyのベーシストのソロ作品。本家同様エレポップなんだけど、メロディや展開がよりポップで時折トロピカルな音使い。とはいえ、甘くなり過ぎない絶妙なところを突いてきていて、踊るもよしBGM的にサラッと聴くのもよしな"着回し"しやすい1枚。
▼Moullinex - Elsewhere
同じく今年よくお世話になったエレポップ。ゆるゆる陽気なパーカッシブトラックに波打つシンセが、ムーディー過ぎないベッドルームディスコ感を与えてくれて、休日の夜によく聴いてました。
▼Mr.Children - REFLECTION{Naked}
Atomic Heart以降の全アルバムは(たぶん)ちゃんと発売日に買ってきたのに、小林武史氏が抜けてセルフプロデュースになったことが大きくて、しばらく買うのすらスルーしていたくらいだったんですけど、ほんとごめんなさい、大人しくさっさと買っとけやって感じの傑作でした。
1つ1つの音に意味とか想いがちゃんと込められてるんだろうなという確かな職人技と併存する、いつもは見られない気迫溢れる荒削りな感情表現は、聴いていて胸を鷲掴みにされるよう。もはやベテランの域の国民的バンドが改めて音楽に正面から向き合った生々しい作品。
▼乃木坂46 - 透明な色
基本的にこれまでのシングルをそのまんま順番に並べたものと、B面の人気投票結果を並べただけのものなので、アルバムとしてのまとまりは皆無なんだけど、やっぱり1曲1曲のクオリティは文句なし。デビュー当初のフレンチポップ路線(オマージュ?)な曲群からの「君の名は希望」「ガールズルール」という神曲への流れは完璧過ぎて怖いくらい。国民全員が沼にハマるべきグループ。
▼Spangle call Lilli line - ghost is dead
5年振りの新作。活動休止前の"らしくない"「New Season」から一転、"らしい"サウンドに戻って来て、安心安定の1枚。折り重なっていくサウンドスケープ的なアプローチから、音数は削られ、よりシンプルにバンドアンサンブルを強調しているといった変化もあれど、やはりそこにあるのは、透明感と静けさの中を泳ぐ仄かな情熱とでも言うべき唯一無二の世界。
▼ESNO - Release
きらびやかなエレクトロニカでヒップホップでジャジーなトラックを淡い靄で包んで物憂げなボーカルが寄り添うドリーミーな音世界。さすがに真新しい音ってわけではないけど、DAOKO、ボンジュール鈴木、リリスク等をフューチャリングしてるあたりが2015年のサブカル音楽シーンを凝縮しているという意味でも挙げておきたい1枚。
あと、本名のKenichiro Nishihara名義の「Jazzy Folklore」も素晴らしいです。
▼My Little Lover - re:evergreen
自分の音楽遍歴の中でも重要なポジションに座する1995年の超名盤「evergreen」の再構築盤と、11年振りに小林武史プロデュースによるアンサー盤「re:evergreen」の2枚組。実際そこまでアンサー的な感じの構成にはなっていないものの、20年前の「evergreen」がそうであったように、実験性を排してとことん良質なポップスを追求したアルバムであることは間違いない。あの世界観の再現がここまで完璧にできるのって、akkoさんのボーカルが良い意味で変わっていないっていうのもあるのかな。"超名盤"っていう大袈裟な表現よりも、"さらに20年後にも安心して聴ける良作"くらいがしっくりくる表現。
▼Cayucas - Dancing at the Blue Lagoon
初期Vampire Weekendにトロピカルでカリビアンなエッセンスを加えたような、ゆるゆるダンサンブルが心地良い。夏によく聴いた。こうやって並べると、2015年は南国に行きたかったのかっていうくらいにトロピカルなのばっかり。
▼ラブリーサマーちゃん - #ラブリーミュージック
めっちゃヘビロテしてるのに、1枚目からこういうのに選んじゃうのは甘やかしだ!もっともっと伸びるんだから!みたいな謎の自己内やりとりがあったりもしたけど、良いモノは良いです。
で、やっぱり、これまでネット上で発表してきた楽曲群から一気に次のステージにジャンプアップした感のある超キャッチーチューンの「私の好きなもの」に尽きます。まだ聴いてない・見てない方は是非。
▼CAPSULE - WAVE RUNNER
パターン化されすぎちゃって巷に溢れるEDMの90%は同じ曲にしか聴こえないんですけど、そんな中でやっぱり生粋のポップス職人が作れば別物だなぁという1枚。いつもEDMをdisってるけど良いものは良いよね。天ぷらがあんまり好きじゃないんだけど、美味しい天ぷらは大好きっていうそれと一緒。(文章書くのだんだん疲れてきた)
▼ぼくのりりっくのぼうよみ - Hollow World
年末に滑り込んできたばかりで正直そこまで聴きこめてない中、年間ベストに入れるか迷ったりしたものの、17歳とは思えないその表現力と今後の音楽シーンを席巻していきそうな可能性に負けた。
個人的な経験と照らし合わせると、七尾旅人やRADWIMPSが出てきた時の衝撃を久々に蘇らせてくれたなぁ、と。
▼akisai - images
今年のschole枠(というのがあるわけではないけど)はこれ。なぜか2015年はなんちゃらニカをあまり聴き漁らなくなかったなぁと今気付いた。そんな中、安定の上質フォークトロニカに管楽器が絡みあうこの質感はありそうであまりなかった音の温もり。映像も素敵です。
▼大塚愛 - LOVE TRiCKY
全編エレクトロハウスをベースにしてクールな側面を見せようとしているんだけど、それに乗っかるメロディがどうしようもなくキャッチーという彼女にしか作り出せない領域。ボーカルの耳触りの良さも最高。元気いっぱいな「さくらんぼ」イメージしかない人全員にとりあえず聴いてほしい。
▼でんぱ組.inc - WWDD
でんぱ組を象徴してきたエキセントリックでめまぐるしい展開の楽曲群よりも、奇を衒わない王道な楽曲群の方が圧倒的に再生回数が多くて、これってつまり、そういう域に達せたってことだよねと勝手に感慨を覚えたり。相変わらずの多忙っぷりだけれど、割と終わりが見えてるグループだけに、それまでにたくさんの作品を残して欲しい。個々のキャラや声がちゃんと立ってるからこそ、どんな楽曲を歌ってもでんぱ組の曲になるわけだから。
▼Outfit - Slowness
売る気があるのか問い詰めたくなるほどの気持ち悪いジャケはさておき、淡々としたリズムにやっぱり淡々と優しく美しく流れるギターにシンセにキーボードにボーカル。これは寝れるな、と思いきや前触れ無く突如歪みだす音像は一発でクセになります。例えるなら、サラッと聴けるレディオヘッド(例えてみたけれどあんまりピンときてない)。
▼Everything Everything - Get To Heaven
メジャー感が増す度にバンドアンサンブルもボーカルも変則かつ複雑になってきてて、でもちゃんとキャッチーさは損なわれてなくて、本物だなぁとか感じたりしてる。
以上。
ちなみに、前年までのベストは下記。